卵アレルギー、クッキーぐらいなら食べさせてもいい?(P127)

食物アレルギーって何だろう。我々の時はほとんど無かったように思う。


免疫システムのカギを握るT君(T細胞)。実はT君にはT1君(正式にはTh1)とT2君(Th2)がいることがわか ってきました。

T1君はウイルスや細菌を担当。T2君はその他の物質を担当します。ウイルスや細菌がたくさんくる時はT1 君が台頭してきますが、それが来ないとT1君の出番が少なくなり、T2君が代わりに台頭してきます。T2君 は花粉や食物などを敵と認識してしまうことがあります。一旦敵だと認識してしまうともう止められません。 こうしてT2君が増えすぎてしまった人がアレルギー体質になりやすい人なのです。

T1君とT2君が勢力争いをするのは実は2,3歳まで。その後はそのバランスは変わりません。つまり、若い 世代にアレルギー体質が増えてしまった大きな理由は、社会が衛生化して細菌やウイルスに触れる機会 がここ数十年の間に減ってしまった結果、T1君が増えず、T2君が台頭してしまった結果だと考えられます。

先生の解説

  • T2君が台頭してしまったのは、社会が衛生化してしまったことのほかに、抗生物質の使用が考えら れます。もちろん抗生物質によって細菌やウイルス感染が減り人類の救いとなったわけですが、その一方でウイルス・細菌と触れる機会が減ってしまい、アレルギー体質を増やしてしまった、と考えられています。
  • それを防ぐには「適度に非衛生的な環境」で子供を育てることが必要です。土など自然に触れさせ る機会を増やしたり、ペットを飼うのも一つの手です。ただ、イヌやネコはアレルギーの原因ともなり ますので、すでにT2が増えてしまったアレルギー疾患のお子さんは別の方法を選びましょう。
  •  研究の現場では細菌やウイルスに代わるワクチンの開発が行われています。体には直接無害な ワクチンを子供に投与させることで、T1君を増やしてあげるのです。近い将来、そういったワクチン が出てくると思います。

NHKためしてガッテン過去ログ(2003年4月23日放送)から一部抜粋しました。

イラストはイメージでNHKためしてガッテン過去ログとは関係ありません。


なるほど!“社会が衛生化と抗生物質”か・・・“適当に非衛生な環境”で子どもを育てるのがいいのか。