イクメン 育児経験仕事に生かそう
男性が育児休業をとるというと、まだまだ「特別な人」に見られるでしょうか。元ビートルズのジョン・レノンが、息子の誕生を機に活動を休止したのは1975年ですが、それから40年近くたっても、子育ては依然母親に頼る部分が多いのが日本の現状です。
改正育児・介護休業法(2010年施行)は、原則1歳まで、1回限りの育児休業を①父親は、子の誕生から8週間以内に育休を取っていれば、後でもう一回取得できる②父と母が交代で育児休業を取る場合は、1歳2カ月まで延長できる③「妻が専業主婦だと取れない」とする社内の取り決めは認めない―など、父親の育児を応援する制度に変えました。
育児に積極的にかかわる男性を指す「イクメン」という言葉がでてきたのもこのころからです。それでも男性の育休取得は、いまだに2・63%(11年度調査)と、微増にとどまります。政府は20年度に13%にする目標を立てていますが、具体的な道筋はありません。
なぜ取得が進まないのでしょうか。一つには、育休中の収入は雇用保険から出る給料の50%相当の給付金だけになるので、経済的に困るという問題です。上乗せをしている企業は少数派です。
また、育休を取ったら出世できなくなる、と考えている人も多いようです。育休を理由とした解雇や降格は、法律で禁止されていますが、職場の雰囲気はまだ理解がないということでしょう。
子育ては、子どもがかわいいだけでなく、一人の消費者として世の中のニーズを見つめ直すいいチャンスになります。残業や長時間労働に頼りがちな働き方を変えることもあるかもしれません。育児の経験を仕事に生かせれば、きっと企業にプラスになりますよ。
ただ最近は、家の外でイクメンぶりを強調しすぎて、妻のひんしゅくを買う夫もいるとのこと。親なら育児をして当たり前、基本は相手への思いやり、とお忘れなく。
(2013/06/27 神戸新聞 木曜日 朝刊)