スクラップ・ブック <あなたの安心>第1部 出産・子育て(3)

産科医療補償制度 重度の脳性まひが対象

お産に関連して生まれた子どもが重度の脳性まひになった場合、分娩(ぶんべん)中の過失の有無にかかわらず、家族の経済的負担を軽減するために計3千万円が支払われるのが、産科医療補償制度です。

補償金は制度に加入する分娩施設からの掛け金(1児につき3万円)で賄っています。この掛け金は健康保険から支払われる出産育児一時金に上乗せされていますので、個人の負担はありません。

公益財団法人・日本医療機能評価機構が民間の保険を利用して運営しています。制度が始まったのは2009年1月1日からですので、それ以降に生まれた子どもが対象です。

20130606産科医療保障制度 補償されるのは▽妊娠33週以上かつ出生体重2千グラム以上▽身体障害1、2級相当の重度▽先天性の要因などによるものは除く―などの基準を満たした場合です(図参照)。

今年3月までに509件の申請があり、うち461件で支払いが決まりました。ただ、この申請件数は現場の実態からみて大幅に少なく、かなりの申請漏れがあるとみられています。

同機構は「障害の認定は制度独自の基準で行うし、先天性の要因があっても、それが主な原因でない場合は補償されるので、幅広く相談してほしい」と専用電話を設けて呼び掛けています。

申請期限は満5歳の誕生日まで。制度ができた年に生まれた子どもは来年中に迎える誕生日までになりますので、注意が必要です。

重度の脳性まひを対象にしたのは、紛争になりやすく、訴訟リスクが産科医不足に拍車を掛けたからです。同機構は同時に原因の分析にも取り組み、再発防止策を公表するなど産科医療の質の向上も目指しています。  いくら医療が発達しても、お産の現場では予期せぬことが起きることがあります。ただ、障害を抱えて生まれる子どもは脳性まひだけではありません。いずれはすべての疾患にも広げてもらいたいものです。
(2013/06/06 神戸新聞 木曜日 朝刊)

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