スクラップ・ブック <あなたの安心>第1部 出産・子育て(4)

産後の支援 疲れたら誰かに相談を

知らないことばかりで不安なのに、子育てには休みがなく、睡眠時間も足りない…。

20130613産後の支援 出産後数日で、ホルモンバランスの崩れが原因で起きるマタニティーブルーや、疲れや育児ストレスが重なって発症する産後うつ。「出産はうれしいことのはず」と周囲が苦しみを理解せず、核家族で夫のサポートも得られないとなると、深刻化し、育児放棄や虐待にもつながりかねません。

このため、厚生労働省は児童福祉法を改正し、2009年4月から、赤ちゃんが生後4カ月になるまでに保健師らが全家庭を訪問する「こんにちは赤ちゃん事業」を、市町村の努力義務として法律に定めました。

仕組みは市町村によって少しずつ違いますが、母子手帳をもらう時や、出生届を出した時に受け取る連絡票やはがきを提出すると後日電話連絡があり、保健師、助産師などの専門職か研修を受けた民生委員など地域の人が家に来てくれます。

保健師らは、育児に関する悩みを聞き、地域の子育て支援事業に関する情報を提供。同時に母親や子どもの心身の状態や、養育環境などを把握し、必要な場合は適切なサービスにつなげます。

特に支援を必要とする場合は「養育支援訪問事業」という別の事業の対象となり、より専門的な支援や公的な家事援助が受けられます。

このほかにも、母子保健法に基づく、低体重出生児らを対象とした新生児訪問があります。

心配なのは、こうした訪問すら拒否し、誰にも悩みを打ち明けない家庭があることです。子育てが思い通りにいかないのは、よくあること。面会がいやなら電話でもいいので、母子手帳に書いてある市町村の母子保健課などを頼りに、必ず誰かに相談しましょう。

子育て中は、これまで縁がなかった地域の人や役所の人に、大いに頼っていいのです。それが親の人生も豊かにしてくれることを、どうか忘れないでください。
(2013/06/13 神戸新聞 木曜日 朝刊