<安心シニアの生活設計>第1部 セカンドライフ(2)老後のお金 長期収支のバランスを

第1部セカンドライフ2最近、「下流老人」という言葉が流行しています。現役時代に普通の生活を送ってきた人でも、さまざまな理由で老後は生活苦に陥ることをいうようですが、そうならないためにはやはりしっかりした資金計画が欠かせません。

高齢者雇用が進んで60代前半ではまだ何らかの形で働いている人も多いと思います。そこで、本格的な年金生活に入った65歳以上の無職世帯の生活実態を総務省の家計調査(2015年)でみてみましょう。

夫婦世帯の平均支出は月約27万2千円です。これに対し収入は月約21万2千円(図参照)。単身者では月約15万6千円の支出に対し収入は月約11万8千円です。収入はどちらも大半が年金です。

赤字幅は夫婦世帯で月約6万円、単身者で月約3万8千円。退職金などの預貯金で賄っているとみられます。これを人生90年時代として単純に残りの25年間でみると、夫婦世帯で約1800万円、単身者で約1140万円になります。

では実際の貯蓄はというと、夫婦世帯の平均は約2500万円です。ただし、低い世帯から高い世帯に順番に並べたときの中央値は約1590万円。こちらのほうがより実態に近いのではないでしょうか。ただ、こうした調査結果は一つの目安です。生活レベルは個個人で異なりますし、子どもの結婚や自宅のリフォーム、念願の旅行などでまとまったお金が必要になることもあるでしょう。

それも含めて自分の場合はどうなのか。年金や預貯金を合わせた長期的な収支バランスがある程度取れていればひとまず安心ですが、仮に収入不足なら支出のスリム化は避けられません。

家計調査での赤字幅は年々拡大しています。頼みの年金は目減り傾向なのに増税などもあって諸物価は値上がり傾向にあるのが影響しているようです。老後生活にはこれまで以上の自助努力が必要といえそうです。

(神戸新聞2016/04/15 金曜日 朝刊)

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)