ある日、茂は涼子との待ち合わせ時間に30分遅れてしまった。涼子は待ちくたびれて、やや不機嫌になっていた。
「遅いわね。私、もう帰ろうかと思ってたのに!」
茂は慌てて謝った。
「ごめん、ごめん!今日は、仕事が忙しくて時間が押してしまって。でも、頑張って急いで来たよ」
涼子は一瞬、黙り込んだ。しかし、すぐに微笑みを取り戻し、茂の手を取った。
「いいわ、急いでここまで来たんでしょう!」
涼子の手は、茂の手を包み込むように優しく握られた。茂は安心したようにため息をついた。
「ありがとう」
二人は、公園に入り、散歩を始めた。寒い冬空の下、雪が舞い落ちていた。そんな中、二人の会話は暖かいものだった
しかし、途中で涼子は急に沈黙し、顔を背けた。
「どうしたの?」
茂が心配そうに尋ねると、涼子は小さな声で答えた。
「ごめん、ちょっと口が過ぎちゃったかなって思って」
茂は笑顔で頷いた。
「気にしないで。俺だって、連絡もせずに遅れたりするから、ごめんよ」
二人は、少しずつ心を通わせていた。そして、公園のベンチで座り、お互いに手を握り合った。茂が思わず口づけを求めたが、涼子は拒否した。
「ごめん、ちょっと恥ずかしい」
涼子の言葉に、茂は笑ってうなずいた。二人は、長い時間をかけて心を通わせ、お互いの存在がますます大切なものになっていった。